「………あんたすぐ泣かないんだね。」
彼はそう言ってじっと私を見つめてきた。
あまりにもじっと見つめられるものだから不思議に思う。
もしかして私が泣くのを待ってる?
いや、さすがに初対面の人の前で泣くのは迷惑だよね……
そう思っているとやっと彼が口を開いた。
「あんた、名前は?」
突然の外れた質問に驚きながらも答える私。
「中山 千紗です……。」
「なかやま、ちさ……?あんたが有名な橋本の女?」
言い方はあれだけど間違ってないから
「はい、そうです。」と答える。
「ふぅん。でもどっかで見たことあるんだよね。………中山 千紗………ちさ………あっ。」
どっかで見たことある?
私は記憶にないんだけど………。
だけど彼の表情を見る限り私のことを思い出したようだ。
「思い出した、千紗ちゃんか。」
いきなり下の名前で呼ばれた上にちゃん付けで呼ばれさらに驚く私。
私のことを知ってるの……?



