芝生の端にある2台のベンチ
片方に私が
もう片方にその父親と息子が座り
お互いの娘を見守る

まだ会釈した程度で
次どう声をかけていいかわからない


娘たちの歓声だけが響く公園


気まずいな…


この沈黙を破らなければ。


「あの…

娘さん、あやちゃんっていうんですか?」


「あ、彩菜(あやな)といいます」


父親は腕の中で眠る息子さんを
少し気にかけながら、そう答えた。
柔らかく微笑むその姿は
本当に
優しい父親なんだろうなぁという印象。


そうか…

ここは「私、あや なんです」

なんて言ったらいけないな。
お父さん呼びにくくなっちゃう!


「あやなちゃん…かわいい名前ですね!」