…咲楽を、間に、挟まず。
…挟、まず………?
…記憶に、無い。
自分でも、みるみるうちに顔色が悪くなっていくのがわかる。
「…どうしよう」
「明!貴方顔色おかしいよ!?」
「それを、言うなら…咲楽だって…」
お互いに顔色を心配しあっていると、辺りに予鈴が鳴り響いた。
「あっ!?急がないと!」
咲楽が慌てたように言い、私も学校の中へ走る。
……大丈夫。
私だって、いつまでも咲楽と一緒に居れるわけじゃない。
一人でも、何とか、しないと。
私達は急いで教室へ向かっていたから、気づいてなかった。
私が、うっかり生徒手帳を落としていたことに。
そしてそれを、誰かに拾われていたことに。
…気づいて、なかった。