「…どうした?」





心配そうな声が、頭上から降ってくる。





…だめ。


心配、なんて、させちゃだめ。






「…だい、じょうぶ…だから」








顔を見ずに、そう伝える。


……うまく、言えた、はず。









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「…それ、こっち見て言って」







あ、あれ。



なんか、声が……怒って、る?









「楠木」








や、やっぱり、声が不機嫌そう…。



どうして…?







「ほ、ほんとに、大丈夫、だか…っ!?」








ふいに、両方の頬が…暖かい何かに、包み込まれた。



そしてそのまま、クイッと顔を上向かされる。











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「…そんな泣きそうな顔で、何が大丈夫なんだよ」



呆れたような声でそう言うと、朱雀くんは私の頬から手を離し、歩き出した。





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…私の手を、つなぎながら。