フワフワした気持ちで、家までの道をたどる。






ーーーまた、明日








……なんでだろ、思い出す度、嬉しくなる。



男の人と、あんなに喋ったの…初めてかもしれない。




明日がこんなに楽しみなのも、初めて。

…今日は初めてのことだらけだ。











ガタンッッ





「わっ…何…」





音がした方を見ると、猫が塀の上をスタスタと歩いていた。

塀の下の方では、ゴミ箱が倒れている。

…猫がゴミ箱を蹴倒しただけだ。

ほっと息をつく。









今日は、一段と、周りが静かだ。



いつもだったら、小学生がはしゃいでいたり、近所の人達がお喋りしてたりするのに。


…いつもと帰る時間帯が、違うから?

…今日は、隣に咲楽が居ないから…?







…どうしよう。


何だか、怖い。





身体が震えてくる。


…大丈夫、静かなだけで、いつもと道は同じなんだから。



だから、大丈夫…。


震える身体を押さえつけるように、帰り道を歩く。








思わず、じんわりと、涙が滲んできてしまう。







…怖い…。





.





.





.



「…楠木?」




.




.





…え。





…どうして…こんな、とこに。







「…朱雀、くん」