いつからだろう、女子達の熱の篭った目が嫌になったのは。



ギラギラした肉食獣みたいな目を見たくなくて、そんな目で寄って欲しくなくて、無愛想になっていったのは。



別に冷めた目を向けられたい訳じゃないが、もう少し落ち着いた目にできないのか。


例えば楠木みたいな…。








「…おい、何考えてんだ俺」



思わず声に出してしまった。

なんで一番に楠木が出てきた?

それは確かに、あいつの目は他の奴らとは違うけど。




俺を見るその目は、純粋で、無垢。

その目が潤んでいた時は、身体が勝手に動いていた。

その目がはにかんで細められた時は、顔が熱くなった。





おい待て、落ち着け俺。

考えてみろ。


もし、その目が他の奴と同じように、熱を持ったら?

その熱を帯びた瞳で、俺を見たら。




あの、純粋な瞳が。

熱を帯びて。



俺を、見つめたら……。











「…うゎ」

みるみる内に顔が熱くなるのがわかる。

…嘘だろ、全然嫌じゃない。

むしろ、その目で見てもらいたい、とさえ思っている。





もし、その目で見つめられて……あの小さな口で…切なげな、熱っぽい声で……俺のことを、呼ばれたら……。










「いやマジで何考えてんだよ俺」








…変態か、俺は…。