「明、帰ろう!」



「あ、うん…」




今日は昼休みとLHRが終わったら、一般生徒は下校。



生徒会は、来週の新入生歓迎会のために話し合いがある。


先程、朱雀くんはさっさと教室から出ていった。



あの女子達は、今度は近づいてこなかった。


…多分、咲楽が怖いんだろうな。




「あ、あの、咲楽…」



「ん?どうしたの?」



「今日…先に、帰っててくれない、かな…まだ、用事、あって…」


「…用事?それならいいけど…待っててもいいんだよ?」



「う、ううん…長く、なるかもしれないから、大丈夫…」



「そう…でも、何かあったらすぐ連絡するのよ?」



「分かってる…ありがと」





咲楽を見送ったあと、教室は私一人だけになった。


1年生の時は、咲楽の部活が終わるまで、教室や図書室で勉強しながら待つことが多かった。



明日は部活が休みだから、待たなくて済んで良かったねって、昨日咲楽が話してくれてたのを覚えてる。



…ごめん、咲楽。





「…まだ、言わなきゃならないこと、あったから…」




一人呟くと、下駄箱に向かって歩き始めた。