茶髪のショートカットで、意志の強そうな瞳。
165cmはある長身で手足はスラリと伸びている。
運動神経抜群、バレー部次期エース。
学力も学年上位に常に食い込むほど。



…挙げていくときりがない。



それほどにこいつ、神崎咲楽はこの学校では有名人だ。


そしてもうひとつ、有名な噂がある。




神崎咲楽には、ベタ甘な親友がいる。
もし手を出したら、地獄を見る。



…まさか、隣のそいつとは思わなかったけど。




「…ねぇ明、この手、どうしたの?」



低い声。
見ると、赤いあとがついた腕を持った神崎が、そのあとを凝視していた。

…さっき、腕掴まれた時のか。

肌が白いから、ここからでも赤くなっているのがよくわかる。



底冷えするような声に、女子達の顔が青を通り越して白くなる。
 


辺りを見回した神崎は、その女子と目が合ったらしい。



すっ…と目を細め、口を開く。




「…貴方、何か知ってるの」




疑問形じゃない。
確信した声だ。