…あれ。




前、見えない。






「…あのさ」







…誰の、声?





「お前ら、うるさい。席戻ってくんない?」





目元に、何か…。

…誰かの、手?



誰かが、私の目を、手で覆っている。







「…だ、れ…?」


そう言うと、急に視界が開けた。

眩しくて、目をパチパチと瞬かせる。

先程まで居た女子達は、元いた席にもどっていた。

こちらを睨みつけながら。

「…写真っ…!」

あれを、返して貰わないと……!


女子達の方へ駆け出そうと、身体を彼女達の方へ向ける。







パサッ


「…え…?」



何かの落ちる音。


見ると、私の目の前に、生徒手帳と写真が差し出された。


それは確かに、自分のもので。
私は、それを持つ手を、腕を、目でたどる。



「…何、いらねぇの」



私の隣の席にいた彼が、無表情でこちらを見下ろしていた。