その途端、クラス内の派手めの女子達が俺の近くに集まって来る。

キツめの香水の匂いが漂って、思わず眉をしかめた。




「ねぇねぇ、朱雀くんっ」

「誰の隣になりたいっ?」

「誰でもいいよ~、選んでっ!」




…知らねぇよ。

毎年こうやって、俺の隣や近くの席になった奴を別の場所に飛ばし、自分達で周りを独占する。

いつだか、それに逆らった奴は、総シカト食らって転校して行った。
それが中学の時のことだ。


こうなった時は毎回、『誰でもいい』と言って適当に流している。




今回も例に違わず、そう言うつもりだ。



今日何度目かも分からない溜息をついていると、目の前に居た化粧の濃いリーダー格の女が、何故か片眉をはね上げた。








「…ねぇ、なんで貴方、まだここに居るの?」


「…えっ…」


俺の隣にいた奴に、そのリーダー格の女が、睨みつけながらいった。










彼女の純粋な瞳が、ほんの僅か、揺らいだ。