「じゃあ環、仕事行ってくるね。今日の夜はローストビーフでも食べようね」

ネクタイを締め、いつもの笑顔で笑って颯さんは寝室のドアを閉める。
ベッドの上で寝転がったまま、私は颯さんを無言で見送る。


あれから、6日。
私は颯さんのマンションの部屋から出られずにいた。
一言で言えば監禁だ。

仕事は体調不良ということで長期休暇をとっていることになっているらしい。
両親も颯さんのところにいるから安心だと思っているらしい。

私が婚約を解消してもらうために訪れた日から毎日、帰ってきたら夜ご飯を一緒に食べさせられ、一緒にお風呂に入らされて何度か抱かれ、ベッドでさらに一晩中抱かれる。

服をめくると私の身体には至るところに颯さんが付けたキスマークがついている。
執拗に抱かれ、もう抵抗する気力さえなくなっていた。

いまは…8時半か。

ついさっきまでずっと抱かれ続け、私はベッドから動けないほどに疲れきっていた。
なぜあの人は疲れないのだろう。