彼のことが好き。
遠ざかっていく彼の背中に向かって走る。

「あらた…っ!」

私は振り返った彼の胸に勢いよく飛び込んだ。

「環?どうした」

不思議そうに声をかける彼の背中に手を回す。
もう、彼を好きな気持ちに歯止めがきかなかった。

「あらた…私、新のことが好きよ」

涙で視界がぼやけていく。
誰かを好きになるのがこんなに激しい感情だなんて知らなかった。

「新にとって私が…遊びでも、私は…わたしは…っ…」

大粒の涙が頬を伝い、こぼれ落ちる。
今まで溜め込んでいた感情が一気に溢れだす。

彼の服を濡らしてしまう。
涙を止めなきゃと何度も手で拭ってもどうしても止まらない。

「たまき…」

「ごめんなさい…っ!でも好きだから…知っててほしかったの」

フラれる。
そう思って思わず彼の声を遮る。
聞いたら終わってしまう。

「迷惑…よね」

彼の困惑する表情に私は我にかえる。
自分勝手に想いを伝えて、号泣して、私何してるんだろう。