新とキスをした夜、私は眠ることができなかった。
何度目を閉じても彼の顔が、表情がこびりついて離れない。

私はベッドに寝転がり、天井を見つめる。

あれは夢だったんじゃないか。
何度もそう考えた。
でも彼の唇の感触が今でも残る。

彼は、今まで出会ったことのないタイプの人。
名前しか知らない人。
そんな人に惹かれるだなんて思ってもみなかった。

「新…」

再びその名前をつぶやく。

”もう一度会いたい”

私はこの夜、それしか考えられないでいた。