「ねぇ?聞いてる?」 手が震えだす。 (どうしよう。動けない。・・・誰か助けて・・・) 「華!!」 グイッとカップを持ったままの手が引かれ、誰かの胸に頭の後ろが当たる。 竜也が片手で華を後ろから庇うようにしていた。 「なんか用?」 竜也の今までに聞いた事のないような声がする。 「い、いえ!」 そう言って華に声を掛けてきた男は去っていく。 (あの時と同じなのに・・・。 ・・・さっきはあれだけで動けなかったのに・・・。)