顔を洗い、キッチンへ向かう。
コーヒーを入れ、パンを焼き、サラダを用意して食べ、
それからメイクと着替えをする。

華は下着姿で鏡の前に立ち、自分の姿を見る。

「・・・はぁ。」

そして、ドレッサーの引き出しから絆創膏を取り出し、右の後ろに近い首元に貼る。

「気にしすぎかな・・・。」

そこには小さな、目立たない傷跡があった。
普通にしている限りでは、普段からスーツを着ていて、隠れているので分からない傷跡。

でもそれは、華の心には大きな傷を残していた。


「よし!大丈夫!私、元気!頑張る!」

華は自分を励ますように鏡に向かって笑顔をつくり、そう言った。