「……先生って、こういうの慣れてますよね……」
「つまんねえこと言ってたら、さっきの撤回するぞ」
「すみませんっ」
「……あ、雪」

先生が、小窓の向こうに見える景色を見ながら呟く。

「雪……?」
「さっきの雨が雪に変わったんだな。真っ白だ」

吹雪とまではいかないけれど、強い雨が雪になったような風景。
比較的降雪の珍しいこの地域が、一瞬で雪景色に変わっている。

「今から帰れるのかなぁ……」

ぽそりと呟いた言葉に先生は耳をそばだてた。

「帰るって……あ、三年は今自由登校か」
「はい……チョコ渡しに来ただけなので」

先生は窓から離れ、石油ストーブをつけた。その上にはやかんが乗っている。

私は小窓の前で、先生の様子と、窓の外の雪を見ていた。
やかんのお湯が沸くまでの間も、雪はしんしんと降り積もる。