絵の具

「うわ、なんで急に!?」

突然降ってきた雨に苛立ちを隠せず、ついそう叫んでしまった私。

部活終わり、お腹も空いてサッサと家に帰ろうとした瞬間これだ。なんてタイミングが悪いのだろう。今日はついてない…

もし、もしこれが少女漫画の世界だとしたら、ベタにクールで不思議な雰囲気を纏うぶっきらぼうだけどなぜか優しい系高身長イケメンが現れて、ベタに傘を渡し1人去っていくのだと思う。

そんな姿に傘を渡された少女はそんな彼が気になりだす。そう、そんなシーン。

ただし、現実はそんなに甘くない。

そんな風に優しく接してもらえるのはどこぞの美少女かバスケ部なんかで汗を流し青春を謳歌しているようなキラキラ女子。

もちろん、私のような美術室でひっそりと誰かに聞かせたらキモいの一言で終わるような妄想を膨らませながら絵を描いている眼鏡低女子力は相手にされない。

そんなのわかってる。わかってるけど、やっぱりどこか期待している自分がいて、なんだかそんな自分も嫌で恥ずかしい。

ペシッと自分の頬を叩いて、仕方なく雨の中濡れて帰ることに。

そもそも、偶然こんな雨の中イケメンと鉢合わせること自体おかしいだろう。そのイケメンは一体何してたんだ?
何で傘を持ってる?急な雨だぞ?

…って、少女漫画に八つ当たりしても雨は止まないし仕方ないのに。自然現象なんだから。