あっ……。
目の前には彼が立っていて、私を見ている。
身長…高いな……。
185ぐらいかな……。
身長が170ある私でも見上げてるからね……。
……何?
彼は私に少し近づくと、私がつり革を掴んでいた右手を外して、その手を握った。
う…えっ?
彼はその手を握ったまま自分が座っていた席に戻り、座る。
私の手を握ったまま……。
「あの……キャッ」
彼が突然、握っていた私の手を下に引っ張ったせいで、私は彼の隣に座ってしまった。
まだ彼は私の手を握っている……。
「……あの…」
話しかけようとするが、彼は窓の外を眺めている。
これは一体……。



