会っちゃったよ……。
走って、バスに乗り込んだ一治高校の制服を着た男子高校生は…彼だった……。
私が…会いたかった……。
会わない方が良かった……。
彼だ……。
へっ……。
彼は左手を掴むと、私を引っ張って、バスの奥に進んでいく。
「あの…」
何を……。
そして、5名ぐらいが座れる一番後ろの長い席の所まで来ると、彼は左の窓側に座り、掴んでいた私の左手を引き寄せられて、私は彼の隣に座った。
彼は私の左手を握ったまま、私を見つめている。
……何なの?
「離して下さい…」
「………」
彼は私の左手を離さない。
「聞こえないんですか?
離して下さい!!!」
「………」
離すどころか、彼は掴んでいる手に少し力を入れた。
本当……何なの?
「離し…」
私は掴まれていた左手を引き寄せられ、彼の胸に…。
「会いたかった……。
あなたに…会いたかったです」
「私も…です……」
すごく、すごく……。
会いたかった……。



