――赤か青。

「二分の一の確率だな?」

西山の問いに、案内人はニヤリッと笑った。

「ほら、次が待ってるから早くしてくれる?」


「・・・決めた」


西山はそう言って扉の前に歩いていった。


「どうか・・天国でありますように」

ゆっくりと『赤い扉』を開く。

眩しい光が眼に差し込む。

バタン。


後ろで扉が閉まった。


―――地獄だ。
すぐにそうだと分かる光景だった。


「あーあ、可哀想にねー」

と、案内人が呟く。


{助けてくれー!}


『青い扉』から、悲鳴が聞こえてきた。


「うるさいなー、全く。自分が地獄を選んだクセにさ」


なんでだろうね。


なんで地獄行きのヤツには『この扉』が見えないんだろうね。

案内人は不思議そうに『赤い扉』と『青い扉』の中間に立った。



『黒い扉』



自分の心がどす黒いせいで見えないのかもね。