「じゃ、行くか」
ここが学校というのにも関わらず、陽向が私の手をとった。
「ひ、陽向…ここ学校だよ…?」
「知ってる。お前をとられないため」
こんな人、誰もとらないよ。
それより、陽向がかっこいいせいで、私が白い目で見られる。
“なんでこんな平凡な女が佐倉くんの彼女なの?”
そんな心の声が聞こえてくる。
そんなのこっちが聞きたい。
「ねぇ陽向…私の、どこが好きなの…?」
我ながら恥ずかしい質問をしたと思う。
でも陽向は笑って、
「ん〜、普段は結構冷たいけど、時々甘えてくるところとか、笑顔かわいいし、あと優しいとこ」
そう答えた。
なぜか涙が出そうになった。
私は彼の手をぎゅっと握った。
