「由依先輩!」
「ん?どうしたの?」
「苺花先輩、いますかぁ?」
「あぁ今、職員室に行ってるよ」
「了解ですっ!」
「由依、今のって...」
「...あっ!苺花ちゃんの場所教えちゃった、どうしよう...!!」
「まあ、苺花なら大丈夫だとは思う...」
「失礼しました」
今日も職員室からスリッパを借りて、1日が始まった。昨日、家に帰ったら気が付いたんだけど、カバンが少し開いていたらしく。そこに雪が入っていて溶けて私のイヤホンが水没してしまった。それに今日は南京錠が一つ増えていた。
まあいいや、気にしない。と思いながら職員室を出て振り向くと、また見たことのある女の子達がいた。
「苺花先輩」
「はっ、はい。あ、白石さん」
「先輩、私に嘘ついてたんですね...応援するとか言って本当は智樹先輩のこと取られたくなくて、私がフラれて良かったって思ってるんでしょ、席だってわざと一緒になるようにしたんでしょ?そんなのずるすぎる」
「卑怯ね。先輩なのに」
「後輩に譲らないとか、ほんと最低」
取り巻きもなんやかんやと私のことを悪く言ってる。そう言われても...。
「あのね、白石さん。本当に誤解なんだよ。私本当に白石さんのこと応援してたし、席だってたまたま一緒だっただけだよ?それに仲良く喋れてるのだって2年の最初に席近かっただけだからね。それに私、遠藤くんのこと好きじゃないよ?」
「嘘よ!私の友達にいるんだから。先輩が、智樹先輩のことを好きだって友達と話してるところ聞いたって人が。未奈乃っていう人とそう話してたって聞いたんだから!」
「私が未奈乃とそんな話...あっ」
もしかして、白石さんに遠藤くんの場所を教えたとき、かな。廊下で私がおっきい声出して壁にぶつけちゃった子...もしかして、あの子?
聞き間違いでもしちゃったのかな。でも、これはどうにも解決できそうにないし...。
「信じてもらえないと思うけど、それはただの聞き間違えだと思うよ。私は本当に遠藤くんに好きとかいう感情を持ってないし...。でも信じてもらえないんだったら別にいいよ。白石さんの中で、私は最低な人間のままでいいから。これ以上、遠藤くんに嫌われるようなことしない方がいいよ」
「あんたみたいな最低な人、智樹先輩に嫌われてしまえばいいんだわ!私が先輩に言い付けてやる!そういう最低な人間なんだって!」
「あ、あと、もしかして南京錠付けたのって白石さん?昨日の雪はそうだったよね。良かったら、南京錠開けてほしいんだけど」
「ついに言いがかりまでしてきたわ!信じられない!!」
私はもう諦めた。
別に白石さんとは他に接点があるわけじゃないし、嫌われたって何も問題はないし、後輩に仲良い子とかいないから大丈夫だよね。私がこのまま身を引けばこの子達も満足するだろうし。
「うん、分かっ...」
言いかけた、そのとき。
「何やってんだよ松永、ホームルーム始まんぞ」
私の背後から聞こえた低い声。それは、遠藤くんだった。
「遠藤くん!」
「と、智樹先輩!」
「なにしてんの?」
「スリッパ借りた帰りに、白石さんと会ったから話してただけだよ」
「嘘をつくのやめてくれる!?智樹先輩、こいつ私のことを騙したんです!今だって先輩に振られたこと、ざまあみろって言ってきて!本当にひどくないですか!?その上私のことを応援してるよなんて嘘ついて。本当に最低な人間ですよね!?」
盛りに盛られてる。もはや唖然として言葉もない。遠藤くんに申し訳ない。こんなことに巻き込んでしまって。
「ふーん、そうなんだ?松永」
「あー、うん。そうね。白石さんの言う通りだよ」
「その上、自分が勝手にいじめられてることを私のせいにするんです!南京錠のこととか、雪のこととか!私何も知らないのに!」
「ふーん?」
スリッパへは、もう二度とありつけないみたい。
「俺、昨日見ちゃったんだよねー。お前らがいっぱい雪持って、放課後体育館に入ってくとこ」
「なっ...!?」
「あと、サッカーのグラウンドの近くに、意味わかんねえ鍵埋めてったのも見たな」
「っ...!」
「遠藤くん、もういいから。ホームルーム始まっちゃうよ」
「と、智樹先輩!そいつ、最低ですよ!」
「あぁ、ほんとに最低だな」
「ほらっ、あんたなんかほんとに最...」
遠藤君くんにも嫌われて、このままの学校生活が続くのかなぁなんて思っていた。もう話なんて聞いてなかった。
「お前らみたいなクズ女、本当に最低。自分がフラれたからって人に当たることしかできねーでやんの。脳みそ虫以下かよ。ほら松永、教室行くぞ」
遠藤くんは、見た目にそぐわない下品な言葉をいっぱい吐いて、私の腕を掴んで白石さん達の横をスタスタと通り抜けた。
「え、遠藤くん!?」
「なんだよ」
「そんなこと言ったら、白石さんまた泣いちゃうよ!ねぇ、ほら、ごめん、私謝ってこないと」
「なんでお前が謝る必要があるんだよ」
「だ、だって、遠藤くんの隣の席になっちゃったのは本当だし...きっと白石さん今泣いてるし」
「お前、自分のことはどうでもいいのかよ」
「自分のことって...そんなことより、可愛い白石さんの方が大事に決まってるでしょ!」
「なぁ、お前はあいつらに散々嫌がらせされたんだぞ。なんでそんなこと言えるんだよ」
「...わかんない」
自分でも、よく自分の気持ちは分からなかった。でもなんだか白石さんには謝らなきゃいけない気がして。そして、遠藤くんにも。
「遠藤くんも、本当にごめん。私、1人で解決できたら良かったのに...巻き込んじゃって、本当にごめんなさい」
「お前のせいじゃねえだろ、全部。席が隣になったのだって、俺とたまたま喋れるのだって全部、お前のせいじゃねえだろ!」
「な、...なんでそんなに私に優しくしてくれるの?その優しさ、告白してくれた女の子に向けた方がいいよ...」
なんだか心配されたことがとても恥ずかしくて、皮肉を口からこぼしてしまった。でも思ってることは本当だから、嘘では...ない。
「自分のせいで傷ついてる奴がいたら、そんな...心配するに決まってんだろ」
「フッた女の子達には優しくしないのに?」
「あいつらは俺の見た目しか見てねーし、そんなやつらに優しくしたらまた来るだけだし...もううんざりなんだよ、ああいうの」
遠藤くんは、少し寂しそうな顔しながら私のことを見た。目が合うとなんだか悪そうに、下に視線を逸らした。
「...ごめんな、松永」
「遠藤君が謝らないで、何も悪くないんだから!それに、遠藤くんに気があるって思われるような発言した私が悪いし、私なんかに好かれてもって遠藤くんだって思ってるのに...白石さんはなんか勘違いしちゃったんだね」
「...そんなに自分のことを過小評価するなよ、...死神、つくぞ」
「えっ、なにそれ!」
「な、なんでもない!」
「どういうこと?死神つくって」
「だ、誰にも言うなよ...」
「言わない!」
「俺昔、あんまりサッカー好きじゃなくてさ。まぁ下手くそだったからなんだけどりそん時小学校のコーチに、俺なんかどうせ上手くなれないって言ったら...そんなに過小評価してるとお前に死神着いてすぐ死んじゃうぞって言われてさ。死神も、すぐそこまで来てるから、死にたくなかったらめっちゃ練習しろって言われて。そん時の俺ガキだったからその話信じちゃって、それからずっと何か落ち込むこととかあった時自分のこと過小評価すると死神がつくって言い聞かせて...はは、頑張ってたんだ」
「遠藤くんにも、そんな純粋な子供の時期があったんだね...!」
「は、恥ずいから絶対誰にも言うなよ!!」
「言わない言わない!秘密!」
「よし、秘密、な」
なんだか、嬉しくなってしまった。こんな遠藤くんこ秘密を私が知るなんて、なんだか特別な気がして。ただの友達なのに。
「...お前は、なんかないのかよ」
「私?」
「俺だけ秘密言うのも不公平だろ。お前もなんか言えよ」
「うーん、私はね...」
キーンコーンカーンコーン
「っやべ!ホームルーム!」
「走れ走れ!」
ギリギリで間に合ったホームルームで、1日は始まった。朝から内容が濃かったけど、でも嫌がらせもなくなりそうで私の生活もよりいっそう安定しそうだった。
ってか遠藤君に言う秘密考えとかないとなぁ。私別に秘密とかないからどうしよう。作っちゃおうかな?
「ん?どうしたの?」
「苺花先輩、いますかぁ?」
「あぁ今、職員室に行ってるよ」
「了解ですっ!」
「由依、今のって...」
「...あっ!苺花ちゃんの場所教えちゃった、どうしよう...!!」
「まあ、苺花なら大丈夫だとは思う...」
「失礼しました」
今日も職員室からスリッパを借りて、1日が始まった。昨日、家に帰ったら気が付いたんだけど、カバンが少し開いていたらしく。そこに雪が入っていて溶けて私のイヤホンが水没してしまった。それに今日は南京錠が一つ増えていた。
まあいいや、気にしない。と思いながら職員室を出て振り向くと、また見たことのある女の子達がいた。
「苺花先輩」
「はっ、はい。あ、白石さん」
「先輩、私に嘘ついてたんですね...応援するとか言って本当は智樹先輩のこと取られたくなくて、私がフラれて良かったって思ってるんでしょ、席だってわざと一緒になるようにしたんでしょ?そんなのずるすぎる」
「卑怯ね。先輩なのに」
「後輩に譲らないとか、ほんと最低」
取り巻きもなんやかんやと私のことを悪く言ってる。そう言われても...。
「あのね、白石さん。本当に誤解なんだよ。私本当に白石さんのこと応援してたし、席だってたまたま一緒だっただけだよ?それに仲良く喋れてるのだって2年の最初に席近かっただけだからね。それに私、遠藤くんのこと好きじゃないよ?」
「嘘よ!私の友達にいるんだから。先輩が、智樹先輩のことを好きだって友達と話してるところ聞いたって人が。未奈乃っていう人とそう話してたって聞いたんだから!」
「私が未奈乃とそんな話...あっ」
もしかして、白石さんに遠藤くんの場所を教えたとき、かな。廊下で私がおっきい声出して壁にぶつけちゃった子...もしかして、あの子?
聞き間違いでもしちゃったのかな。でも、これはどうにも解決できそうにないし...。
「信じてもらえないと思うけど、それはただの聞き間違えだと思うよ。私は本当に遠藤くんに好きとかいう感情を持ってないし...。でも信じてもらえないんだったら別にいいよ。白石さんの中で、私は最低な人間のままでいいから。これ以上、遠藤くんに嫌われるようなことしない方がいいよ」
「あんたみたいな最低な人、智樹先輩に嫌われてしまえばいいんだわ!私が先輩に言い付けてやる!そういう最低な人間なんだって!」
「あ、あと、もしかして南京錠付けたのって白石さん?昨日の雪はそうだったよね。良かったら、南京錠開けてほしいんだけど」
「ついに言いがかりまでしてきたわ!信じられない!!」
私はもう諦めた。
別に白石さんとは他に接点があるわけじゃないし、嫌われたって何も問題はないし、後輩に仲良い子とかいないから大丈夫だよね。私がこのまま身を引けばこの子達も満足するだろうし。
「うん、分かっ...」
言いかけた、そのとき。
「何やってんだよ松永、ホームルーム始まんぞ」
私の背後から聞こえた低い声。それは、遠藤くんだった。
「遠藤くん!」
「と、智樹先輩!」
「なにしてんの?」
「スリッパ借りた帰りに、白石さんと会ったから話してただけだよ」
「嘘をつくのやめてくれる!?智樹先輩、こいつ私のことを騙したんです!今だって先輩に振られたこと、ざまあみろって言ってきて!本当にひどくないですか!?その上私のことを応援してるよなんて嘘ついて。本当に最低な人間ですよね!?」
盛りに盛られてる。もはや唖然として言葉もない。遠藤くんに申し訳ない。こんなことに巻き込んでしまって。
「ふーん、そうなんだ?松永」
「あー、うん。そうね。白石さんの言う通りだよ」
「その上、自分が勝手にいじめられてることを私のせいにするんです!南京錠のこととか、雪のこととか!私何も知らないのに!」
「ふーん?」
スリッパへは、もう二度とありつけないみたい。
「俺、昨日見ちゃったんだよねー。お前らがいっぱい雪持って、放課後体育館に入ってくとこ」
「なっ...!?」
「あと、サッカーのグラウンドの近くに、意味わかんねえ鍵埋めてったのも見たな」
「っ...!」
「遠藤くん、もういいから。ホームルーム始まっちゃうよ」
「と、智樹先輩!そいつ、最低ですよ!」
「あぁ、ほんとに最低だな」
「ほらっ、あんたなんかほんとに最...」
遠藤君くんにも嫌われて、このままの学校生活が続くのかなぁなんて思っていた。もう話なんて聞いてなかった。
「お前らみたいなクズ女、本当に最低。自分がフラれたからって人に当たることしかできねーでやんの。脳みそ虫以下かよ。ほら松永、教室行くぞ」
遠藤くんは、見た目にそぐわない下品な言葉をいっぱい吐いて、私の腕を掴んで白石さん達の横をスタスタと通り抜けた。
「え、遠藤くん!?」
「なんだよ」
「そんなこと言ったら、白石さんまた泣いちゃうよ!ねぇ、ほら、ごめん、私謝ってこないと」
「なんでお前が謝る必要があるんだよ」
「だ、だって、遠藤くんの隣の席になっちゃったのは本当だし...きっと白石さん今泣いてるし」
「お前、自分のことはどうでもいいのかよ」
「自分のことって...そんなことより、可愛い白石さんの方が大事に決まってるでしょ!」
「なぁ、お前はあいつらに散々嫌がらせされたんだぞ。なんでそんなこと言えるんだよ」
「...わかんない」
自分でも、よく自分の気持ちは分からなかった。でもなんだか白石さんには謝らなきゃいけない気がして。そして、遠藤くんにも。
「遠藤くんも、本当にごめん。私、1人で解決できたら良かったのに...巻き込んじゃって、本当にごめんなさい」
「お前のせいじゃねえだろ、全部。席が隣になったのだって、俺とたまたま喋れるのだって全部、お前のせいじゃねえだろ!」
「な、...なんでそんなに私に優しくしてくれるの?その優しさ、告白してくれた女の子に向けた方がいいよ...」
なんだか心配されたことがとても恥ずかしくて、皮肉を口からこぼしてしまった。でも思ってることは本当だから、嘘では...ない。
「自分のせいで傷ついてる奴がいたら、そんな...心配するに決まってんだろ」
「フッた女の子達には優しくしないのに?」
「あいつらは俺の見た目しか見てねーし、そんなやつらに優しくしたらまた来るだけだし...もううんざりなんだよ、ああいうの」
遠藤くんは、少し寂しそうな顔しながら私のことを見た。目が合うとなんだか悪そうに、下に視線を逸らした。
「...ごめんな、松永」
「遠藤君が謝らないで、何も悪くないんだから!それに、遠藤くんに気があるって思われるような発言した私が悪いし、私なんかに好かれてもって遠藤くんだって思ってるのに...白石さんはなんか勘違いしちゃったんだね」
「...そんなに自分のことを過小評価するなよ、...死神、つくぞ」
「えっ、なにそれ!」
「な、なんでもない!」
「どういうこと?死神つくって」
「だ、誰にも言うなよ...」
「言わない!」
「俺昔、あんまりサッカー好きじゃなくてさ。まぁ下手くそだったからなんだけどりそん時小学校のコーチに、俺なんかどうせ上手くなれないって言ったら...そんなに過小評価してるとお前に死神着いてすぐ死んじゃうぞって言われてさ。死神も、すぐそこまで来てるから、死にたくなかったらめっちゃ練習しろって言われて。そん時の俺ガキだったからその話信じちゃって、それからずっと何か落ち込むこととかあった時自分のこと過小評価すると死神がつくって言い聞かせて...はは、頑張ってたんだ」
「遠藤くんにも、そんな純粋な子供の時期があったんだね...!」
「は、恥ずいから絶対誰にも言うなよ!!」
「言わない言わない!秘密!」
「よし、秘密、な」
なんだか、嬉しくなってしまった。こんな遠藤くんこ秘密を私が知るなんて、なんだか特別な気がして。ただの友達なのに。
「...お前は、なんかないのかよ」
「私?」
「俺だけ秘密言うのも不公平だろ。お前もなんか言えよ」
「うーん、私はね...」
キーンコーンカーンコーン
「っやべ!ホームルーム!」
「走れ走れ!」
ギリギリで間に合ったホームルームで、1日は始まった。朝から内容が濃かったけど、でも嫌がらせもなくなりそうで私の生活もよりいっそう安定しそうだった。
ってか遠藤君に言う秘密考えとかないとなぁ。私別に秘密とかないからどうしよう。作っちゃおうかな?
