壊れそうなほど胸が苦しくて







「・・・・・じゃあ・・・・
なんで泣いてるんだよ。」



「・・・・・・・・。」



「お前は誰よりもサクラの事に気を配って、

あいつの障がいがハンデにならないように、
人知れずずっとフォローし続けて。

それは“同僚だから”っていう理由じゃ無くて、お前がサクラの事を好・・。」



「虎さん。もうやめましょう。」








ナガセはジョッキを置くと、
俺と反対側の方を向いて肩を震わせはじめた。






「・・・・辛かったんだな・・・ずっと。
ごめんな・・気付いてやれなくて・・・。」




「辛いことなんてありませんよ。
惚れた女が幸せになるんなら、
こんな嬉しいことはないです。」









嗚咽混じりに声を上げて泣くナガセの肩をそっと抱く。



ナガセの気持ちを代弁するかのように、

その泣き声をかき消すかのように、


店内にはTOKIOがリリースした新曲が流れていた。






     壊れそうなほど胸が苦しくて 終