大好きだった彼の後ろ姿。いつもの教室で汐里は定演のしおりを見つめていた。詩織は吹奏楽部パーカッションパートのパートリーダー。みんなにバレない様に見つめていた後姿にサヨナラの終止符を打ったのは二年前だった。いまだに汐里の心から彼がいなくなった事はない。汐里には彼を温かく見つめ、彼の様になろうとすることしかできなかった。
たった一度だけ「汐里」と呼んでくれた彼に。