夜、病弱くんの通夜があった。

あたしとお兄ちゃんと

あたしのお母さんは

早めに行って、準備とかを手伝った。

病弱くんのお母さんが

渡したいものがあるって言ってたし。

あたしが行くと、病弱くんのお母さんが

ある手紙を出してきた。


「美穂ちゃん、優がね__」


その手紙には病弱くんとあたしが

結婚したいと思っていたことが書かれていた。

病弱くんが、病弱くんのお母さんに

宛てた手紙。

いつの日か約束した、

病弱くんの用事がおわったら

高校を卒業して、

ちゃんと働いて結婚すること。

覚えていてくれてたんだ__

最初は好きな人ができたから、

別れてって振られたのに。

だからか覚えてるなんて思わなかった。


「あと、これ」


病弱くんのお母さんは、

もう1つの手紙を渡してきた。

今度はあたし宛て。

『美穂へ。

 元気ですか?
 幸せですか?
 幸せだと嬉しいです。

 僕がなくなってから、
 約束してほしいことがあります。

 もう一生恋をしないなんて
 言わないでください。
 
 約束はこれだけです。

 
 俺は美穂に出会えて、付き合えて
 ものすごく、世界一幸せでした。

 もうそこにはいませんが、
 誰よりも美穂のことを守り続けます。
 
 今まで助けてもらってたから
 なくなってからで申し訳ないけど
 美穂のことを守り続けます。

 怖いかな?
 美穂、霊感が強くなっちゃうね。

 
 本当はね、傍にいたい。
 生きてたい。
 でも、俺はもうすぐ
 行かなきゃいけないから。

 ごめんね。傍に入れなくて。

 美穂の幸せをずっと願ってます。
 これからも元気で明るい美穂でいてね。』


最後に「病弱くんより」って書かれてて

なんか嬉しかった。

病弱くんが、あたしに

手紙を書いてくれてたなんて。

便箋には涙の痕もあって、

あたしも涙があふれてくる。

けど、病弱くんに

見られてるかもしれないし。

そんなとこ見られたら恥ずかしいから、

あたしはいそいで涙を拭いた。