「鶏頭院・・・優くん」


「知っ、てた、んだ」


病弱くんは笑った。


「まだ、全然、平気」


こんなときでも病弱くんは強がる。

あたし、そんなに頼りないかな?


「あたしさあ、病弱くんのこと大好き」


知ってるって顔をして、

病弱くんが頷いた。


「最後の恋だと思う」


また病弱くんが頷く。


「あたし、もう誰とも・・・」


泣きそうになって、声が震えて。

でも、もう誰とも付き合えないって

言おうとしたのに、

病弱くんがあたしの手を握った。


「そんな、こと・・・いわ、ないで・・・」


病弱くんは笑顔で言った。


「っでも!」


病弱くんは首を横に振った。


「ダメ、だよ・・・」


あたしはもう、

誰とも付き合えないと思ったけど

あたしが1番好きな人に言われたら

しょうがないよね。

病弱くんがそんなこと言わないで

って言ってくれたから。


「俺・・・美穂のこと、守る、から」


「カッコイイ」


5分。

病弱くんとの、

最後の2人の時間が終わった。