だが、鮎川は携帯を取り出した。
『呼びます♪』
今思えば、鮎川が冬嘉に会いたかっただけなんじゃねぇ?
そんなこんなで数十分後、息をきらした冬嘉登場。
また更に酒を飲んだ俺は、すっかり冬嘉が来る事を忘れていた。
『冬嘉?
どうしたの?♪』
だなんて、上機嫌に言ってしまった。
「蓮!!」
怒ったように言うと冬嘉は、俺から酒の入ったグラスを取り上げた。
しかも慶喜は母親に怒られ、自然に周りの人間も帰っていってしまった。
冬嘉に連れられ、寒い夜の街へ。
冬嘉は文句を言いながらも、俺を支えて歩いている。
制服の冬服を着ている俺でも寒いのに、薄着の冬嘉はもっと寒いだろう。
上着を着ない程、そんだけ急いで来てくれたのは、何だか嬉しかった。
冬嘉は俺の母親かよって、バカらしい事を頭の片隅で考えていた。



