アナウンスの仕事を終えてから気がつけば5ヶ月の月日が流れ、季節は秋の終わりを告げていた。

他県よりもひと足早く、新人戦が終わった。残念な結果に終わった。元々、進学校で、高校からサッカーを始めた私たちに誰も期待などはしていなかった。その証拠に、指導者がいなかった。グラウンドの土は、雨風に削られ、傾いていた。
結果は悔しいものであったが、県内の女子の強いチームの子達とも初の交流があり、仲が良くなれたのは非常に嬉しいことだった。名門、大和工業の女子とも私は友好関係を深めた。閉会式が終わると、気が付けば写真撮影会となっていた。
帰りの電車では、周りの仲間は寝ている中で、私は送られてくる写真を待ちわび、送られてきた写真を見ては、1人でニヤけていた。負けたことはとても悔しく、悲しかったが友好関係を深めることによって、サッカーの技術を精進し、彼女たちに相手にされるようなチームになろうと、決意させてくれた。電車から見える空の風景は沢山の星があったことに私は気づかなかった。
家に着いた私は、SNSサイトに大会のことを投稿した。仲良くなった大和工業の女子達をはじめ、いくつかの拡散、評価の通知が、たくさん届いた。
さすがに、沢山走り、沢山喋ったその日の私は充電が切れて、これ以上起きていることは不可能だった。
余韻に浸りながら、私は翌日、学校だと思い出し、朝、早く起きて課題をすることを決意し、すぐに寝た。


翌朝、朝、早くに起きることはできなかった。それどころか寝坊してしまった。急いで、支度をした。本日の天気は、あいにくの雨。昨日、降らなくて良かった…そう思うばかりだ。SNSサイトにはたくさんの通知が届いていた。私は名前も聞いた事の無い人からのメッセージに気づいた。


中谷拓士:初めまして。
大和工業2年のサッカー部です。
よろしくお願いします。


大和工業って名門ではないか!なぜ、そんな方が、弱小校のサッカーのチームのただの選手の私にメッセージを?さらに、したにスクロールした。


中谷拓士:アナウンスしてたよね?笑


あ!あの時に!なんで知ってるんだろう?2年生の君は…出ていたのかな?数々の疑問が私の頭を駆け回る。でも、そんなことよりも、名門である大和工業の方からメッセージが届いたという事が単純に嬉しかった。

私は返信を即座にうっていた。



柏崎高校2年サッカー部の小金井です!
よろしくお願いします!
どうして知ってるんですか!?笑



この時はただ単純に嬉しかったという感情しか私にはなかった。だが、今思い返せば、私はこの時に1番戻りたいのだ。