「しょ、翔!!」
美咲は叫んだ。しかし翔は美咲から逃げるように運ばれていった…。
「皆さん、よく聞いてください」
南北先生が喋り始めた。2年B組の担任である。
「相原くんは、何故倒れたのかはまだ分かりませんが、重症なのは間違いないでしょう。今回のことは保護者の方にも伝えときます。皆さんは速やかに下校してください」
ーー場が静まり返る、誰もなにも言わない状況が長く続いた。
「みんな、今日は帰ろう!」
直人が言った。みんなが直人に注目する。
「翔は大丈夫な可能性だってある。そのことを願うしかないんじゃないかな?」
「そ、そーだよ!」
美咲も無理やり場を和ませようとした。
「そ、そーだよな…」
みんな翔が生きてることを願いながら下校した。