それからしばらくは、
海辺にはいけなかった。
激しい嵐が来ていたのだ。
アサヒは、肩を縮めて過ごしていた。
周りのひそひそ話から耳を閉じ、
冷たい視線から避け、
必死に耐えていた。
嵐がやんだのは、その一週間後である。
アサヒは、誰よりも早く起きて、
海辺に飛び出していった。
-早く、早く!
気持ちが焦っていた。
バシャン!
大きな水が跳ねる音とともに、
アサヒは日の下に飛び出した。