今から逃げても、
もう遅いのはわかっている。
彼もきっと、この人魚の出会った人間と
同じ運命になるのだろう。
なら、ならせめて!
最後まで彼のそばにいよう。
ちゃんと、思いを伝えよう。
いつか来るその日を、私は待とう。
アサヒは、強く本を抱き締めた。