船の上にいた彼はいつも、
首からそのペンダントをさげていて、
時たま、それを大切そうに眺めていた。
今は忘れているかもしれないが、
ペンダントは彼にとって、大切なもの。
それを、こんな私がもらうなんて、
合ってはならないとこだ。
アサヒは、必死に抵抗した。
けれども彼も、ガンとして譲らず、
アサヒの手に、しっかりと握らせる。
結局、アサヒが先におれ、
そのペンダントをもらうことにした。
帰り際に「大切にしてね」といわれ、
アサヒは力強くうなずいた。