声が聞こえるキミ

彼は笑うとき、
目を細めて口を開けて笑う。
その顔はどこか幼く、けれども、
周りまで笑顔にしてしまうほどの威力だ。
アサヒは、そんな笑顔が大好きで、
自分もつられて笑うことが
増えていることに、気がついている。
彼に出会ってからだろう。
大嫌いな海のなかでも、
自然と笑うことができる。
朝は楽しくて、夜は、
早く朝が来ないかと待ち遠しくなる。
その感覚が、なんとも不思議だった。