アサヒは、他の人魚たちとは、
ちょっと違った。
ヒレの色もみんなは淡い青や緑だけれど、
アサヒは燃えるような赤だった。
そしてアサヒの声は、
他の人魚たちには聞こえない。
希に聞こえる人魚もいるのだが、
そんな人魚は変わり者ばかりの年寄りで、
すぐにいなくなってしまう。
家族のなかでも、聞こえるものはいない。
アサヒは、ずっとひとりぼっちだった。
だからだろう。
たとえ種族や見た目が違っても、
楽しそうに過ごす人間に、
とてもひかれていった。