自分のことは覚えていないのに、
アサヒたち人魚については、
よく知っていた。
人間は、やっぱり不思議だと、
アサヒは思った。
人魚について覚えているなら、
アサヒのヒレがおかしなことは、
なにも言わずともわかるだろう。
アサヒのヒレをみた者は、
「汚い」といつもいう。
だけど、彼は「きれいだよ」といった。
これは、ものの感覚の違いなのだろう。
アサヒは、家へと帰っていった。