「怖くないよ」
そうやって笑うから、
私はポロっと声に出した。
「アサヒ...」
「アサヒか」
彼が、私の名前を呼んだ。
なぜだか、胸が高鳴った。
アサヒにはそれが、よくわからない。
ふと、外に目をやった。
海にゆっくりと、夕日が沈んでいく。
「もう、こんな時間か」
彼は、ポソリとつぶやく。
もう、帰らなくちゃ。
アサヒは、スーっと洞窟の外に出る。