その音で彼は、アサヒの方を向く。
アサヒは、無言で救急箱をわたし、
彼はそれを受け取った。
手慣れたように自分の傷を消毒して、
包帯や絆創膏をはっていく。
アサヒはそれを、じっと見つめた。
これとない観察の機会だとも言いたげに、
彼の行動一つ一つを見つめる。
彼は、救急箱を閉じると
アサヒの方を見て、ニコリと笑った。
「キミの名前は?」
急に話しかけられて、アサヒは驚く。
サッと、身を引いた。