朝、まだ誰も起きていない時間に施設を出る。
裏口に鍵をかけて。
ひっそりと施設を後にする。
ポケットにしまってある唯一の所有物である。
音楽プレーヤーを取り出して。
イヤホンをおもむろに耳に入れる。
別に聞きたい曲なんかないから。
中には一曲も入っていない。
こうしてイヤホンをしていれば。
煩わしい人間関係に悩まされることもない。
楽で、いい。
「おはよ……う。」
教室のドアを開けると。
クラスメイトの女子が声をかけてきた。
でも私に声をかけたわけじゃない。
ドアが開いたから反射的に挨拶をしただけだ。
その証拠に私の顔を見て青ざめている。
隣に座っていた女子がその子に肩を引っ張る。
「ばかっ、なに今井さんにあいさつしてんのよ。」
「だって今井さんだと思わなくて……。」
ひそひそ言い合うふたりを一瞥して。
私は自分の席へ向かった。
学校へ来ても私の居場所なんてなくて。
人間関係は煩わしい。
友達なんて、そんな紙切れみたいな関係。
必要ない。
裏口に鍵をかけて。
ひっそりと施設を後にする。
ポケットにしまってある唯一の所有物である。
音楽プレーヤーを取り出して。
イヤホンをおもむろに耳に入れる。
別に聞きたい曲なんかないから。
中には一曲も入っていない。
こうしてイヤホンをしていれば。
煩わしい人間関係に悩まされることもない。
楽で、いい。
「おはよ……う。」
教室のドアを開けると。
クラスメイトの女子が声をかけてきた。
でも私に声をかけたわけじゃない。
ドアが開いたから反射的に挨拶をしただけだ。
その証拠に私の顔を見て青ざめている。
隣に座っていた女子がその子に肩を引っ張る。
「ばかっ、なに今井さんにあいさつしてんのよ。」
「だって今井さんだと思わなくて……。」
ひそひそ言い合うふたりを一瞥して。
私は自分の席へ向かった。
学校へ来ても私の居場所なんてなくて。
人間関係は煩わしい。
友達なんて、そんな紙切れみたいな関係。
必要ない。