眠れないまま朝を迎えた。
制服のまま寝てしまったから。
スカートがしわになっていたけど。
今更そんなことどうでもよくて。
いつも通り、誰も起きていない時間に施設を後にした。


どれだけ私が孤独になろうとも。
世界に何か変化が起きるわけでもなくて。
昨日と同じ。
プログラミングされたように学校へ向かう。


朝の柔らかな日差し。
色彩豊かな街並み。
ご近所のおばさんたちの笑い声。
それら全部から目を背けたくて。
灰色のコンクリートを見つめながら歩いた。


学校でいつものように。
何も流れる事のない音楽プレーヤー。
イヤホンを耳に入れて過ごす。


窓の外の景色を眺めていると。
ふと、教室の入り口付近が賑やかになった。


女子の、歓声?
なんだろう。


気になって視線を動かすと。


「いた!」


「……は?」


昨日助けられた赤髪の少年が立っていた。