ネオンの光がまばゆい、繁華街。
飲んだくれの親父と、派手な服を身にまとったキャバ嬢。
辺りは煙草と、お酒の匂いで充満している。
入り口から出口まで煌びやかな装飾品ばかりで。
夜のここ、東の繁華街は。
この辺りじゃ一番治安の悪い所だ。


そして私は今日もここを彷徨い歩く。
いつもの定位置であるコンビニに腰をおろし。
何をするわけでもなくただ喧騒の中歩く人波を見つめていた。
ここにいてもいなくてもどうでもいい。
その感じが好きだ。


自分の存在意義が薄れて。
いなくなっても誰も気づかない。
みんな他人で、みんなどうでもいい。
居心地が良くて、楽だ。


「姉ちゃん一緒にホテル行かない?」


「超可愛いじゃん、奢ってやるからよ。」


よくありがちなフレーズでナンパをしてくる奴に。
目を合わせることなく。
視線を一ミリも動かさず人波を見つめ続けた。
そうすれば気分が悪くなった男たちは。
舌打ちをしてどこかへ行ってしまう。


ほんとう、クズばっかり。
そんなとってつけたような言葉についていくやつなんていない。


それに。
そんな安っぽい香水を大量に振りまいて。
こっちは鼻が曲がりそうになっているのに気付いていない。