静かな夜の空に響くみんなの声。

同じ町、同じ田舎で育った私たち5人の声は
誰もいない田んぼの周りによく響く。


「奏羽ちゃん」

綺麗に光る蛍を1人静かに眺めていた私に
問いかける男の子。

「ああ、廉ちゃん」

「1人でぼーっとしてるからどーしたのかなって」

「んーん、すごい楽しくて。
久しぶりに5人揃ったから」

「俺が中々来れないもんね。
奏羽ちゃんとはしょっちゅう会ってるのにみんなとは全然会えないんだもん」


ちょっと拗ねたように口を尖らす廉ちゃん。
廉ちゃんは私の隣の家に住む可愛らしい男の子。
廉ちゃんはバスケが得意だったから、バスケの強い中学校へ進学していった。