キーンコーンカーンコーン…


















校舎中に鳴り響く始業式が始まるチャイム。


















僕は、クラスの順番中に並んで眠いなぁと思いながら、俯いた時だった。




















クシャ…



















後ろから急に髪を触られ、僕は驚いて振り向いた。


















「…誰です…か」


















僕の後ろに並んでいた女の人はショートカットの茶髪で、顔は整っていて、モデル並みなスタイルをしていた。


















制服の着こなしも彼女が着ると、他の女の人より全然似合って見えた。



















女の人は自分の片方の髪を耳にかけながら、俺に頭を下げた。




















「ご、ごめん!髪に何かついてたから、とってあげたくなっちゃって」


















高い声だけど、どこか澄んでいる声。


















「あ、全然。こっちこそごめん」


















「え、なんもしてないよ?朔くんは。ね?」


















え…?


















「なんで僕の名前…」


















「今日からクラスメートだもん!覚えてるよ?」

















すげーな。


















僕は彼女の名前すら知らないのに。




















「僕はあたしの名前知らない…とか、もしかして思った?」


















彼女にそう言われ、僕は図星だった。


















「やっぱりね!朔くん、分かりやすい!」


















「え、あ、なんかごめん」



















「なんで?!今日初めてなんだし、しょうがないよ?」


















彼女はそう言って、笑った。



















「あたしの名前は音宮未海。よろしくね!」


















「よろしく」




















そんな会話をしているとき、僕は皆の視線が僕たちになっていることに気が付いて、僕は慌てて前を向いた。


















この学校は9割が男。



















ってことは、女子と話していると目立つし、音宮さんとも話していると恨まれるかもしれない。


















あんまり関わるのはやめておこう。