結姫が天国へ旅立った日から10年がたった。

私はあの日初めて友だちの死というものを目の当たりにした。

本やドラマの中での話だけだと思っていた。

だから私は結姫の死を受け入れることができなかった。

その日からみんなは笑わなくなった。

あんなにうるさい大輝まで。

みんなといることを避けるようになっていた。

一緒にいるのが辛かったから。

そんなある日、結姫からの手紙を受け取った。

少ない文章の中に『ありがとう』と書いてあった。

なんだかその言葉に救われたような気がした。

それから私は大学に進学し、5年前におもちゃ会社へ就職した。

みんなのようにやりたいこともなくなんとなくついた仕事ではあった。

働き始めて1年が過ぎた頃だった。

私は大輝と再会した。

それから私たちは意気投合し付き合うようになった。

そして私は2年前に大輝と結婚した。

結婚して半年くらい経った時だった。

大輝が花屋を開くと言い始めた。

私は昔から花屋になりたいという夢があった。

けれどそれは諦めるつもりでいた。

大輝は目指していた会社に就職した。

しかし、彼は私の夢を叶えたいからと自分の仕事をやめ、1年前に花屋をオープンした。

嬉しかった。

最初は大変だったが今は店も軌道に乗り安定した生活を送れるようになった。

今、私は妊娠している。

早く赤ちゃんに会いたい

そう思いながら私は今日もお花のお世話をしている。