結姫が亡くなってから10年。

私は女優になった。

結姫が亡くなった日、私はひどく自分を責めた。

後悔した。

だってあんなに綺麗でか弱くて優しい結姫を苦しめてしまっていたから。

毒りんごになってしまった。

でも結姫はこんな私を許してくれた。

私は結姫と笑っていられた時間はみんなより短かった。

できるなら時間を戻したい。

だけどそれはできなかった。

そんなある日、私は結姫からの手紙を受け取った。

そこには『ありがとう』と書いてあった。

あんなひどいことをした私に。

結姫の言葉は私を励ましてくれているように感じた。

だから私は昔から憧れていた女優を目指そうと決めた。

そこから私はたくさんのオーディションを受けた。

しかし、最初のうちは落ちてばかりだった。

もう女優を目指すのはやめよう、と思ったこともあった。

けれどみんなと過ごした日々、そして結姫の言葉を思い出し何度も励まされた。

私は諦めず女優を目指し、やっとオーディションに受かることができた。

それは小さな役だった。

それでも嬉しかった。

私は20歳で映画の主役に抜擢され、そこからドラマや舞台、バラエティーにも出演させてもらえるようになった。

今日もドラマの撮影だ。