考え事をしてたら、いつのまにか屋内プールのところまでついていたらしい
「碧、選抜チーム 俺入れるかな」
ふいに靴を脱いでいる時 朝陽が私の顔を見ずにそう言った
6人いる水泳部の3年で、大会に出られるのは5人。
普通に行けば3年生はほとんどみんな出れるはずだけど、強い後輩も多いから、 顧問が それをどう決めるかはわからない
でも、最後の大会だから、できれば3年生全員で出たい そして、勝ちをつかみとりたい…
「朝陽なら、きっと大丈夫だよ。部長の私が言うんだから、ね?」
昔泣いていた朝陽を慰めるみたいに 優しく言った
私が選抜チームに入れるかなんて、朝陽が入れるかなんて、部長の私にも知ったこっちゃないけど。
「そっかぁ…。 碧は、絶対出れる。だって、碧でなかったら うちの学校、勝ち目ないよ」
さらりとそう言った朝陽の横顔は、鼻筋が通っていて、少し男っぽくて なんだか少し、どきっとした
つい ガン見していたら、ん?と子犬のようなあどけない顔で朝陽がこっちを向いたから 私はとっさに目をそらした
「ほらっ、早くいこ!」
誤魔化すように私はそう言って 靴下を半分脱ぎ終わっていない朝陽を置いて、更衣室がある上の階へ 向かった


