結局、補欠の2人は 3年生で選手になれなかった瀬戸くんと、多部くんになった
先生の話が終わって、やっと練習開始になった
選手になっていないみんなも 昨日までの練習より 真剣に取り組んでるのが、すごく伝わってくる
私は久々に水の中に入ったような不思議な気持ちになって、
少し水中でストレッチしたあと、クロールを5本泳ぐ
いつもなら、ただ、前に進むことだけ考えて、泳いでた
でも、今日はなぜか 必死に体が水を掻いて前に進んでいるのに 心は別のところにあるような感じで、
ぼーっとしているような、太平洋の真ん中を、一人で泳いでいるような気持ち
水を掻くたび、泡が体を包み込んで、水が後ろから自分を押してくれるような感じで、すごく泳ぎやすい
やっと泳ぎ終わって、プールサイドに上がると、森先生が
「高峰、今の泳ぎよかったよ。
本番までもう少し頑張ろう」
と声をかけてくれた
「はい!」
大きな声で、返事をした
前髪を滴る水滴が、プールの匂いがしてなぜか気持ちよかった


