「朝陽、置いてくよ?」
モタモタと部活のエナメルバッグをあさる朝陽に、置いて行くつもりはないけど わざとそう言ってみる
「碧、ちょ、待って!なんか 水着が見当たんないんだよ」
こっちを見るそぶりもなく、机の上で荷物整理をする朝陽。
朝陽は私の幼なじみ、そしてクラスメート、そして部活の仲間。
帰りのホームルームが終わってさようならをした教室には、部活のバッグをあさる朝陽と、それを待つ私だけ。
中3になり、いよいよ部活をできるのもあとわずか。
みんな2年の時よりも部活に行くのが早くて、さっさと教室を出てってしまう
静かな教室に、ガサガサというバッグをあさる音だけが響いてなんだか寂しい感じ
「大会の選抜メンバー今日発表されるし、部長の私が早く行かないとダメなんだけど。早くしてくれる〜?」
私は、水泳部の部長。
とは言っても、他の部と比べると結構人数が少なくて 選抜メンバーなんて言っても 選ぶほど人はいない