親友の彼女のとなりの子


「この時間先生もいないから」




保健室に着くと、1番奥のベッドに凪を座らせて目元を覆った手を解く。


保健室に向かう途中、凪がなにも言わず素直についてきたのには理由があった。




「泣くなよ…」




凪の大きな目には今にも溢れそうなほどの涙が溜まっていた。




「あたし、雛のこと利用なんてしてない…ッ!」


「そんなの知ってるよ」


「雛とは幼稚園の頃から一緒なの、雛があたしのこと裏切ることはないし、あたしが雛のこと裏切ることもないの!!」


「凪は雛ちゃんのこと大好きだもんな」


「うん…うん、雛大好き…!」




とうとう凪の大きな目から大粒の涙がポロポロと溢れて来た。


俺は凪の隣に座り、凪の頭を自分の肩に引き寄せた。


ワイシャツの肩の部分が凪の涙で肌に張り付く。


何も言わずに凪の頭をポンポンと撫でると、凪の手が俺のワイシャツをキュッと掴む。




「あたし、男なんていらない…雛がいてくれたらいい…」


「凪のこと好きな男だっているよ」


「いないの…!今まであたしに近づいてくる男はみんな雛目当てだった、あたしは雛に近づくための都合のいい女でしかないの…!あたしなんて所詮学年1美少女の隣にいる子としか見てもらえないの!」




凪と初めて会った時、学年1美少女の言葉を出すたびに凪の表情が曇っていたのはこういったコンプレックスがあったからか、と今納得した。




「あたし、雛のこと大好きなのに、こんなこと思ってて最低だ…」


「凪、こっち向いて」


「…や、やだ!」




半ば無理矢理凪の顔を上げると、涙で濡れた目と目が合う。




「可愛いよ」


「…悠も雛目当てなの……?」




鼻を真っ赤にして上目遣いでそう尋ねる凪に心臓が高鳴った。




「俺は最初から凪目当て」


「う、嘘だ…」


「嘘じゃない」


「ほんとに…?」


「俺は凪が好きだよ」


「…ッ、あたしも、悠が好き…!!」




必死に想いを伝える凪が本当に愛おしく思えた。


俺は凪の頰についた涙の跡を指で拭い、そのまま顔を近づけ、唇に口付けた。




「…しょっぱい」


「う、うるさい…!キャッ!?」




凪の両手首を持ってベッドの上に押し倒し、手首を押さえつけたまま、再び唇を合わせる。




「はぁ、抑えられなくなりそ…」


「え、だめ!ここ学校だよ!!」


「…学校じゃなきゃいいの?」


「そ、そういう訳じゃないけど…!」


「はは、冗談だよ」


「もう、悠のばか!」


「凪可愛い」




上から覆い被さるように抱きしめる。




「悠はかっこいいから心配、浮気しないでね」




ジトッとした目で俺を見つめる凪。




「しないけど…凪が不安なら女の連絡先全部消す」




俺はポケットからスマホを取り出し操作する。




「え、え、そんなのしなくていい…!」


「LINE初期化した」


「初期化!!!?」


「電話帳からも女全部消した」


「まじ…」


「凪のためならこのくらい余裕だし」


「悠最高大好き」




ついさっき両想いになったばかりとは思えないくらいのいちゃつきぶりで、正直自分でも引くくらい。