親友の彼女のとなりの子


*




「昨日は雛のこと送ってくれてありがとな」


「あぁ」


「雛のこと送るってお前からLINE来た時は驚いたけどほんと助かったよ」


「界くん!一ノ瀬くん!」


「雛!と凪」


「おはよう!あ、一ノ瀬くん、昨日は送ってくれてありがとうね」


「ん、どういたしまして」


「……」


「?、なんだよ、凪は朝から不機嫌な訳?」


「別に…!」




プイッとそっぽを向く凪。




「あ、俺と雛ちゃんが一緒に帰って嫉妬した?」


「嫉妬…?」




冗談で言ったつもりが、凪は真剣な顔でなにかを考えるように黙り込んでしまった。




「いや、冗談だけど…」


「そうなのかもしれない」


「え?」


「嫉妬、したのかもしれない…」


「…まじで?」




凪の意外な言葉に鼓動が高鳴る。




「陽に雛取られて」


「…は?」


「いつも雛の隣はあたしだったから…」


「そっちかよ!逆だろ、雛ちゃんに俺を取られて嫉妬してるんだろ?」


「は…?そんなこと……え?あれ…?そんなことないってば…」




頭を抱え、1人混乱し始めた凪。


その姿に素直に可愛いと思う。




「なににやけてんのよ、陽気持ち悪い!」




考えることをやめた凪は俺をキッと睨み罵倒し始める。




「あ、あの2人、陽と柏木 雛!昨日あの2人が一緒に帰ってるの見たって子がいて…」




その時、近くの女たちが俺たちをチラチラ見ながら話す声が聞こえてきた。




「柏木 雛って界と付き合ってんじゃないの?もしかして陽あの子のこと狙ってたり…親友の彼女なのに」


「逆に柏木 雛が陽のこと狙ってたりして!」


「ありえる!可愛い顔してやることやばー!二股かよ」




界と雛ちゃんは聞こえていないみたいだけど、凪にはしっかり聞こえていたようだった。




「ちょっと!雛はそんな子じゃないから!!雛のことなにも知らないくせに勝手なこと言わないでよ!!」


「え、なに?凪、どうしたの?」


「は…?なによ、あんただって柏木 雛の隣にいれば男が寄って来るからって利用してるんじゃないの?」


「残念だけど、男はみんな柏木 雛ばっかりで隣にいるあんたなんか見向きもしないから〜!」




キャハキャハ笑う女たち。




「そんなこと…ッ、わかってる!!あたしはそれでもいい!雛の隣にいれればそれでいいの!!!」




凪がそう叫んだところで、俺は後ろから凪の目元を片手で覆い、そのままグイッと自分の方に引き寄せた。




「ッ!!!?」


「…言い過ぎ、凪は雛ちゃんを利用するような子じゃないし、雛ちゃんも界に一途だよ、あと凪のこと好きな男だっていると思うけど?」


「そ、そっちが先に口出してきたんじゃん…!もう行こ!」




女たちはバツが悪そうな顔をして立ち去っていった。




「雛ちゃん、凪ちょっと借りるわ、1限出れないから先生に言っといて?」


「えっ、あ、うん!」


「界、俺も1限出ないからよろしく」


「あぁ、…」




俺はそのまま凪を引っ張って保健室へと向かった。