親友の彼女のとなりの子


*




俺たちが入学して半年が過ぎようとしていた。




「俺学園祭実行委員でこれから集まんなきゃなんねぇのまじめんどくせぇ」


「そういえば雛も実行委員だって」




学園祭は1ヶ月後。


学園祭実行委員の俺は学園祭当日まで忙しい日々が続くことを想像して溜息を吐く。


なんて地獄だ。




「じゃあ俺は先に帰るからな、実行委員頑張れよ!あ、雛のことも頼んだぞ!」




そう言い残し、界は帰っていった。



頼んだぞって、雛ちゃん別のクラスだからあんま関係ねぇよ…



指定された教室に向かう途中、見慣れた後ろ姿を見つけた。




「凪、遅くなるかもだから先に帰ってて?」


「でも雛今まで1人で帰ったことないじゃん!心配だよ!」


「私は大丈夫だから」


「雛ちゃん、と凪」


「一ノ瀬くん!」


「げっ!陽!!」




怪訝そうな顔をする凪。




「雛ちゃんも学園祭実行委員なんでしょ?」


「一ノ瀬くんも?」


「うん」


「ほんと!?知ってる人がいてよかった〜」


「凪、雛ちゃん1人で帰すの心配なら俺が送るけど?」


「えっ…」


「そんなっ!悪いよ…!」




凪は一瞬驚いたような、傷ついたような顔を見せたが、すぐにキッと俺を睨む。




「陽なんかに雛を任せられる訳ないじゃん!むしろ1人で帰すより危険!!」


「界の彼女に変なことしないから…でも雛ちゃんが嫌なら界に連絡して迎え来させるけど?」


「それはだめっ!界くん今日ご家族とご飯食べに行くって言ってたから…」


「だからあたしが待ってるってば!」


「凪も今日はバイトでしょ!」


「うぅ…今日は休む…!」


「だめ!」


「でも雛1人なんてやっぱり心配だよ…!」


「一ノ瀬くん、ごめんなさい、送ってもらってもいい?」


「あぁうん、いいよ」


「……ッ、」




凪はまだ納得のいかない顔をする。




「じゃあもう時間だから、行くね、凪」


「…わかった、また明日ね?」


「そんなに心配すんなよ、凪」




そう言って凪の頭にポンッと手を置く。


いつもの暴言か睨みが返ってくるかと思ったがそんなことはなく…


不思議に思って凪の顔を覗き込むと、眉を八の字にし不安そうな表情がそこにあった。




「…凪?」


「一ノ瀬くん、行こ?」


「うん、気をつけて帰れよ、凪」




最後の凪の表情が気になったけど、集合時間が迫っていたため、雛ちゃんと指定された教室へと向かった。